オレオレ詐欺の始まりと呼び名の由来

特殊詐欺の手口は巧妙化し、被害は依然として深刻な社会問題となっています。その中でも「オレオレ詐欺」は、多くの高齢者が被害に遭う代表的な詐欺手口として知られています。2000年代初頭から社会問題化したオレオレ詐欺は、時代とともに手口を変化させながら、現在も新たな被害を生み出し続けています。今回は、オレオレ詐欺の歴史的な変遷と、その特徴的な手口について詳しく見ていきましょう。


  1. オレオレ詐欺は2003年頃から急増し始めた特殊詐欺の一種です。電話で「オレだよ、オレ」と息子や孫を装って親族になりすまし、金銭をだまし取る手口が特徴的でした。この「オレオレ」という言葉が頻繁に使用されたことから、警察庁が2004年に正式に「オレオレ詐欺」と名付けました。当初は、固定電話を使用した手口が主流で、息子や孫を名乗る者が「会社の金を使い込んでしまった」「交通事故の示談金が必要」といった緊急事態を装い、示談金や慰謝料などの名目で現金をだまし取っていました。

【具体例】
2003年に発生した典型的な事例では、都内の70代女性が「オレだよ、オレ。会社の金を使い込んでしまって、今日中に返さないと大変なことになる」という電話を受け、500万円を振り込んでしまうという被害が起きています。

  1. オレオレ詐欺の手口の変遷と被害規模
    オレオレ詐欺の手口は、時代とともに巧妙化してきました。スマートフォンの普及により、固定電話だけでなくモバイル通信を利用した手口や、SNSを悪用したアプローチも増加しています。また、新型コロナウイルスの流行を契機に、医療費や保険金の名目での詐欺も発生しています。被害総額は2003年の約29億円から、2019年には約300億円を超える規模にまで拡大。特に65歳以上の高齢者が被害者の約8割を占めており、深刻な社会問題となっています。

【具体例】
2020年には、コロナ禍を悪用した手口として、「コロナに感染して入院することになった。治療費が必要だ」と息子を装って電話をかけ、現金200万円をだまし取る事件が発生しています。

  1. 現代のオレオレ詐欺の特徴と対策
    近年のオレオレ詐欺は、手口が巧妙化し、従来の電話による詐欺から、SNSやメッセージアプリを利用した新たな手法へと進化しています。特に注目すべき特徴として、AIやデジタル技術を駆使した音声の偽装や、実在する企業や公的機関を装った巧妙な偽装があります。また、コロナ禍以降は給付金や助成金に関連した詐欺も増加しており、高齢者だけでなく、若年層も被害に遭うケースが報告されています。対策としては、不審な連絡があった場合は必ず一度電話を切り、家族や警察に相談することが重要です。また、金融機関やキャリア各社が提供している特殊詐欺対策サービスの利用も効果的な防衛手段となります。

【具体例】
・息子を装ったAI音声による架空の事故トラブル
・大手通販サイトを装った不正アクセス対策の偽メール
・コロナ給付金の手続きを装った個人情報の搾取

現代社会において、オレオレ詐欺は私たちの身近に潜む深刻な犯罪となっています。被害を防ぐためには、常に最新の手口や対策に関する情報をアップデートし、家族間でコミュニケーションを取り合うことが不可欠です。特に、慌てて行動を起こさないこと、そして不審に感じたら信頼できる相手に相談することを習慣化することが重要です。また、金融機関での大額の現金引き出しや、ATMでの不自然な操作を見かけた際は、周囲の方々も声をかけることで、地域全体で被害を防ぐことができます。私たち一人一人が詐欺の手口を理解し、適切な対策を講じることで、より安全な社会の実現に貢献できるのです。

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